ヘッズアップサージェリーって何?

我々眼科医は通常顕微鏡をのぞいて手術をするのですが、ヘッズアップサージェリーは、文字通り顕微鏡をのぞかず顔を上げ目の前の大きなモニターを見ながら行う次世代型の手術です。モニターは55インチの3D4K有機EL画像で、専用の偏光メガネをかけて手術を行います。当院ではHDR(High Dynamic Range)ビデオカメラを搭載した世界初の眼科専用リアルタイム3D映像手術システムであるNGENUITYを神奈川県で最も早く採用しています。

何がすごいの?

1.高解像度で視野が広い

高解像度の大きなモニターのため、術野の端までよく見えます。


従来顕微鏡イメージ

3D Visual System

2.被写界深度が深い

奥行きのある見え方が常に実現され、術野を広く立体的に把握できます。


従来顕微鏡イメージ

3D Visual System

3.HDRカメラによるデジタル補正

HDRカメラによって、眼内照明の眩しさを抑える事が出来るのでより自然な見え方が実現できています。


従来顕微鏡イメージ

3D Visual System


露光過度


露光不足


露光最適化
術野が広く見やすいため、手術の安全性が向上すると期待されています

他のメリット

  • 低光量でも実施できるので、網膜光障害のリスクを軽減する可能性がある。
  • リラックスした姿勢で手術ができるため、術者の肉体的、精神的ストレス及び首や腰のダメージも軽減する。
  • 手術室内外のスタッフ全員が同じ映像を共有できるため、コミュニケーションが向上し、教育にも有用である。

デメリット

  • レイテンシーにより速い動きに映像のわずかな遅れを感じる ※バージョンアップによりレイテンシーの影響はほとんどありません
  • 縫合の際など大きな動きに弱い

術者の感想

3D映像システムを導入して以降、全ての手術を同システムにて行っておりますが、視認性が高まり安心して行うことができるため、もう顕微鏡をのぞく手術には戻れないというのが正直な印象です。本システムを導入している施設は全国でもまだわずかですが、デジタルの世界は日進月歩でさらなる向上が期待され、近い将来、眼科の手術は3D映像手術システムが標準になるものと考えております。

Feb.2019